癌治療に適用できるアミノ酸不均衡溶液の開発を目的に、10%バランスアミノ酸溶液をベースに7種類のアミノ酸不均衡溶液を調製し、それぞれの抗腫瘍効果について検討した。 バリン欠乏アミノ酸溶液を1日量53 ml/rat (79.5 kcal/rat) で8日間投与したところ、肝細胞癌 (AH109A) と乳腺腫瘍 (MRMT-1) の増殖抑制効果が最も顕著で、それぞれ 82.8%, 90.8% であった。 副作用として、宿主の体重増加抑制、脾臓および胸腺の重量減少、脱毛、血漿総蛋白およびアルブミン量の減少が観察された。 バリン欠乏性アミノ酸溶液の1日投与量を40 ml/rat(58.3 kcal/rat)に減らしても抗腫瘍効果は認められ、副作用は軽減された。 このことから、本液剤の使用に伴う副作用は、本液剤の成分や投与量をコントロールすることで軽減されることがわかった。 このように、バリン欠乏性アミノ酸不均衡溶液は、癌の治療において貴重な手段であることが示唆された。