タンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミド(CHX)を視床下部内側視蓋前野(MPOA)に注入し、成熟雄ラットの性行動に対する影響を検討した。 性交渉は、雌の前駆行動の制御と修正のもとで行われた。 CHXの両側注入量–1マイクロリットルに20マイクログラム、1マイクロリットルに40マイクログラム、2マイクロリットルに80マイクログラム–のうち、最大量の効果は雄の交尾準備状態の仮説に対応した。投与2時間後、雄は受動的に受容する雌とは交尾行動を開始できなかったが、強く誘う雌とはうまく交尾行動を行った。 このように、オスの交尾準備状態がメスの前駆交尾行動に依存することが、このCHX投与後に繰り返し確認された。 一方、受動的に受容する雌に対する雄の排卵前行動は損なわれなかった。 CHXの効果は可逆的であり,投与48時間後には雄は高い交尾準備性を示した。 80マイクログラムのCHXを両側投与した雄の半数(n = 7)だけが、交尾能力の基準を満たした。 組織学的検査では、14頭中10頭の雄で、MPOAがCHX注入により両側で影響を受けていることが確認された。 この結果は、男性の性行動の調節にMPOAが関与しているという観点から考察された。 この方法は、同一人物の性行動の変化を慢性的に実験することを可能にする。