アセトアミノフェンは水溶性の低い薬剤でコスソルベントを加えて水に対する溶解性を増加することが可能である。 無毒または低毒性の共溶媒を使用することは、製薬業界では注目されている。 本研究では,塩化コリン+l-リンゴ酸,塩化コリン+マロン酸,塩化コリン+尿素の3種の天然深部共晶溶媒(NADES)が293.15Kから323.15Kの温度範囲でアセトアミノフェンの水溶性を高める効果について実験的に調べた。NADESのほかにも個々の成分についても検討し,アセトアミノフェンの水溶性上昇に及ぼす影響について調べた。 その結果,温度の上昇または検討した共溶媒の濃度の上昇に伴い,アセトアミノフェンの溶解度が上昇することが明らかとなった。 最も効果的な共溶媒は塩化コリンであり,最も効果的でない共溶媒は尿素であった。 例えば,塩化コリン6.45%(モル比)の水溶液は,脱イオン水に対する溶解度の4倍以上までアセトアミノフェンの溶解度を増加させることがわかった。 NADESの各成分の水溶液におけるアセトアミノフェンの溶解度は,これらの系に対するNRTLの二成分相互作用パラメータの推定に使用された。 その結果,NADESの各成分水溶液に対するアセトアミノフェンの溶解度を算出するモデルのAARDは3.2%であった。 次に,二元相互作用パラメータを用いて,NADES水溶液中のアセトアミノフェンの溶解度を予測した。 その結果,モデルのAARDは6.2%となり,NADES水溶液中のアセトアミノフェンの溶解度を予測できることが示された。