目的:がんの新規症例の61%は高齢者で発生しているが,最近の研究では,がん臨床試験への参加者のうち高齢者は25%に過ぎないことが示されている。 高齢者の参加が少ない理由をさらに調査することが必要である。 我々の目的は、国立がん研究所(NCI)がスポンサーとなっている臨床試験への高齢者の参加を評価し、プロトコルの除外基準が高齢者の参加に与える影響を評価することであった。
患者と方法 1997年から2000年にかけて実施されたNCI主催の495の共同グループ試験に登録された59,300人の患者および試験の特徴を分析し、NCIのデータを用いてレトロスペクティブな解析を行った。 主なアウトカム指標は、がん臨床試験に登録された高齢患者の割合と、がん罹患患者のうち高齢者の割合である。
結果 全体として、第II相および第III相臨床試験参加者の32%が高齢者であったのに対し、米国におけるがん罹患者の61%は高齢者であった。 高齢者の割合の低さは,早期癌を対象とした試験において後期癌を対象とした試験よりも顕著であった(P <.001)。 さらに、臓器系の異常と機能的状態の制限に基づくプロトコルの除外基準は、高齢者の参加率の低下と関連していた。 プロトコルの除外基準が緩和された場合、がん臨床試験への高齢者の参加率は60%になると推定される。
結論 高齢者のがん臨床試験への参加は、その疾病負担に比して少ない。 高齢の患者は、プロトコルの除外事項のために臨床試験に不適格となる病歴を有している可能性がより高い。 臨床試験への保険適用は、高齢者の臨床試験へのアクセスを改善するための1つのステップである。 しかし、試験デザインや要件を変更しない限り、このステップでは不十分である可能性がある。