Rationale: 最近の研究では、ガムを噛むことで覚醒度が高まり、認知能力の変化につながる可能性が示唆されている。 本研究では、チューインガムがこれらの機能に及ぼす影響を、単一の研究の中で検討した。
目的 本研究は4つの主要な目的を持っていた。 第一は、ガムを噛むことで物語中の情報の学習・記憶が向上するかどうかを調べることであった。 2つ目の目的は、チューインガムが検証された知的課題(アリスハイム課題)のテスト成績を向上させるかどうかを調べることであった。 第三の目的は、チューインガムが短時間記憶課題(単語リストの即時および遅延記憶、遅延認識記憶、意味記憶からの検索、作業記憶課題)の成績を向上させるかどうかを調べることであった。 最後の目的は、チューインガムが気分(覚醒、平静、快楽的な調子)を改善するかどうかを調べることであった。
対象と方法 ガムを噛むセッションと噛まないセッションを連続した週に行うクロスオーバーデザインを使用した。 各週に、ボランティアは2日間隔で2回のセッションに参加した。 1回目のセッションでは、気分、物語からの情報の即時想起、短時間記憶課題のパフォーマンスを評価した。 2回目のセッションでは、気分、物語からの情報の遅延記憶、知能テスト(アリス・ハイム・テスト)の成績を評価した。
結果 ガムを噛むことは、物語の想起のどの側面にも有意な効果を示さなかった。 ガムを噛むとアリスハイムテストの精度が向上し、以前の研究で見られたガムのテストパフォーマンスに対する効果を確認することができた。 チューインガムは、短時間記憶の課題には、有意な効果を示さなかった。 ガムを噛むと、両方のパートで、テストセッション終了時の覚醒度が上昇した。 この効果は、10%程度の増加であり、非常に有意であった(P < 0.001)。
結論 本研究の結果、ガムを噛むことで覚醒度が高まることが示された。 一方、記憶課題では、チューインガムの有意な効果は認められなかった。 知的能力はガム条件下で向上した。 全体として、この結果は、チューインガムの注意喚起効果に関するさらなる研究と、こうした状況での試験成績の向上の可能性を示唆している。