Background/aim: isotretinoin全身投与は結節性ざ瘡に有効な治療手段だが、臨床使用にあたっては有害事象も報告されている。 我々は、結節性ざ瘡患者のイソトレチノイン全身投与中に考えられる消化管所見や検査所見を明らかにすることを目的に前向き研究を実施した。
材料と方法 結節性嚢胞性ざ瘡患者70名が研究を終了した。 毎月の経過観察中に、患者の肝機能検査と脂質プロファイルを評価し、胃腸系の愁訴を調べた。
結果 肝機能検査値および脂質プロファイルの有意な上昇を記録し、最も顕著な上昇は血漿トリグリセリド濃度であった。 消化器症状としては,悪心,消化不良,腹痛,下痢がまれに認められた。 また、便秘や肛門出血が比較的多くみられ、これら2つの症状には関連があるように思われた。
結論 本研究は,イソトレチノイン全身投与中の患者の消化器所見を解析した初めての試みである。 皮膚科医や消化器内科医は、高トリグリセリド血症や肝機能検査値上昇などの既知の検査所見と同様に、全身性イソトレチノイン治療でも重大な臨床的消化器所見を引き起こす可能性があることを念頭に置いておく必要がある。