Abstract
マウス皮膚に12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate(TPA)を適用すると表皮オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)が大量かつ速やかに誘発される(表皮ODC, 2006)。 EC 4.1.1.17)活性が誘導される。この表現型変化は、皮膚腫瘍の促進に必須であることが提唱されている。 TPAによるODC活性の誘導は、インドメタシン<3926>ナプロキセン<3926>フルフェナム酸<3926>アセチルサリチル酸の順でプロスタグランジン合成阻害剤で皮膚を事前に処理すると抑制された。 一方,ステロイド系抗炎症薬であるデキサメタゾンは280nmolの用量では効果がなかった。
インドメタシンのODC誘導に対する阻害作用は特異的であることが判明した. ODC活性の誘導を80%阻害した280nmolのインドメタシンは、TPAによるS-アデノシルメチオニン脱炭酸酵素および環状アデノシン3′:5′-一リン酸ホスホジエステラーゼ(EC 3.1.4.17)活性の誘導を阻害しなかった。 さらに、インドメタシン処理は、正常な表皮タンパク質およびDNA合成に影響を与えなかった。
TPAによるODC活性の誘導に対するプロスタグランジン合成阻害剤による阻害は、約25~100nmolのプロスタグランジンE1、E2、D2、またはプロスタグランジンI2の6,9チオ類似体をTPAと同時適用すると完全に克服することができた。 一方、プロスタグランジンF1α、F2α、6-ケトプロスタグランジンF1α、アラキドン酸は100 nmol程度の投与では効果がなかった。 17 nmolのTPAを投与すると、表皮のプロスタグランジンEおよびFのレベルが約3倍上昇し、この上昇は280 nmolのインドメタシンで前処理することにより阻止された。 プロスタグランジンE2単独では、開始/促進実験において表皮ODC活性を誘導することも、皮膚腫瘍を促進することもできなかった。 しかし、プロスタグランジンE2によるTPA誘導型ODC活性の増強が観察された。
TPA処理前にインドメタシンを塗布すると、プロスタグランジンの蓄積、ODC活性の誘導、皮膚乳頭腫の形成が抑制されるという結果は、(a)TPAによるODC活性誘導にプロスタグランジンE1、E2、D2、I2が関与する可能性と(b)TPAによるODC活性が皮膚腫瘍促進機構の重要な構成要素となる可能性が考えられる<6471>。