Background. 世界保健機関(WHO)は産後6カ月までの母乳育児を推奨しているが、先進国ではほとんどの女性がこの期間母乳育児をしていない。 母乳育児期間と母親のうつ病との関係を調べた先行研究では、あいまいな結果が示されている。
目的:産後3ヶ月の母親の抑うつ症状と産後6ヶ月の母乳育児の状況との関連を探る。
方法 無産婦を対象とした前向き妊娠コホート研究。 1507名の女性を妊娠初期に6つの公立病院から募集し,妊娠初期(平均妊娠15週)にベースラインデータを記入した。 産後3か月と6か月に追跡調査アンケートを実施した。 女性は何カ月間母乳で育てたかを報告した(母乳育児とは、表現された母乳を含む「あらゆる」母乳育児のことである)。 産後3ヵ月目にEdinburgh Postnatal Depression Scaleで抑うつ症状を測定した(スコア≧13は大うつ病の可能性が高いことを示す)。
所見。 母乳育児を開始した約95%の女性のうち、産後3か月時点で76%が母乳育児を継続しており、産後6か月時点では61%に減少していた。 3か月時点で抑うつ症状を訴えた女性は,抑うつ症状のない女性と比較して,産後6か月時点での母乳育児率が有意に低かった(49% vs 61%,調整後OR=0.55,95%CI=0.34-0.90)。 産後6か月に母乳育児をしないことと関連する母親の社会的特性は、母親の年齢が若いこと、教育水準が低いこと、妊娠中の喫煙であった。
結論 女性の母乳育児に関する決定は様々な心理社会的要因に影響され,産後早期の抑うつ症状は,母乳育児をやめるという決定の原因または結果として,この図の重要な部分となるようであった。