臨床像
42歳男性が、吐き気と腹部膨満に伴う激しい上腹部と左季肋部の腹痛で入院したが、嘔吐や便秘はなかった。 体重減少や食欲不振の既往はなかった。 1年前に開腹手術を受け、肉芽腫瘤を切除している(図11)。 バイタルサインは正常であった。 腹部はやや膨満しており、前回の開腹手術跡の上部に2個の切開ヘルニアがあり、うち1個は容易に縮小可能であったが、もう1個は縮小不能で、圧痛はあるがガードルや硬直はない。 体液のうっ滞とshifting dullnessは陰性であった。 腸音は正常で、直腸は空であった。 腹部CTなどの初診時検査の後,試行開腹し,脾臓から横行結腸に沿って胃の裏側に伸展する別の肉質粘液性腫瘤を摘出した. 12ヶ月後の経過観察でも消化器症状はなく良好であった。
図1 初回手術前の腹部CT画像