太陽電池用光吸収体として、Sn金属層の有機化学気相硫化により硫化錫半導体薄膜を成膜した。 DCマグネトロンスパッタリング法により成膜した100-200nmのSn金属薄膜を、大気圧下、100sccmのN2流量のジ-tert-ブチルジスルフィド(TBDS)蒸気流中で300、350、400℃の温度で90分間硫化処理を行った。 X線回折の結果、300℃では斜方晶系の多結晶SnS膜が形成され、(111)方位が卓越し、350℃ではSnS2およびSn2S3相がわずかに含まれ結晶性が改善されたことが確認された。 ラマン分光分析では、92cm-1と222cm-1のAgとB1uの振動モードが支配的であり、SnSに属する141cm-1と164cm-1のB2uとB3gの振動モードはあまり強くないことがわかった。 350℃での硫化により、SnS相のB2uとB1uに割り当てられた147.6と176.7cm-1のラマンピークが追加され、回折実験と矛盾しないことが示された。 152cm-1と308cm-1のラマンピークは、400℃の硫化膜でSnSと一緒にSnS2とSn2S3が成長したことを示している。 350℃硫化膜のバンドギャップは1.1eVと1.56eVであり、400℃硫化膜では1.42eVと2.07eVと高い値であることがわかった。 これらの結果から、SnS薄膜の形成機構と二次相の生成機構を提案した。