目的。 本研究では,双極性障害のスクリーニングにおいて,気分障害質問票(MDQ)と双極スペクトラム診断尺度(BSDS)を併用することが,どちらかのツールを単独で用いるよりも有効かどうかを検討することを目的としている。
方法 BDと大うつ病性障害と診断され,現在大うつ病エピソードを経験している患者113名を対象に,MDQとBSDSを記入させた。 対象者の初診は1年間のフォローアップ期間中に確認した。 MDQとBSDSの最適カットオフスコアをそれぞれ算出する際、MDQについては、この集団における性能を高めるために、1項目のみを考慮した修正採点法を用いた。 BDのスクリーニングには,2つのツールのカットオフスコアの3つの組み合わせが用いられた:(A)MDQまたはBSDSのどちらかのスコアがカットオフスコア以上である,(B)MDQとBSDSの両方のスコアがカットオフスコア以上である,(C)いずれかのカットオフスコアを1点下げると,MDQとBSDSスコアがカットオフスコア以上である,であった。 BDスクリーニングのための3つの方法、MDQ、BSDSの感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率が比較された。
結果 MDQの感度,特異度はそれぞれ0.741,0.844,BSDSの感度は0.731,0.742であった。 MDQとBSDSを併用した場合のこれらの指標は,それぞれ,A法0.901,0.688,B法0.580,0.875,C法0.691,0.844となった。 方法Aは,感度および陰性的中率に関して,方法BおよびCと同様に,1つの指標を単独で用いるよりも優れていた。 また、方法Aは、BDサブタイプに対して、個々のツールよりも高い感度を示した。 個々の測定器の使用と比較して、方法Aは同程度の陽性的中率を示した。
結論 本研究は,BDのスクリーニングにおいて,MDQとBSDSを併用することは,どちらか一方を単独で用いるよりも効果的であることを示唆するものであった。 また,両手段を用いた場合,MDQまたはBSDSのカットオフ値と同等以上のスコアを陽性としたとき,BDのスクリーニングという観点で最も効果的に結果を解釈できることが示された。